研究概要 |
申請者は,円筒形補助電極を有する長間隔微小測定電極実験装置内部に棒状誘電体を設置し,誘電体を回転させると静電容量が変化する現象を利用して,分布誘電率推定に関する研究を行って来た。 従来の手法では,2枚の補助電極を用いてその大きさを同じにして実験と数値電界解析による静電容量の比較を行った。しかし,誘電体の位置変化による静電容量変化が微小であったため精度良い測定手法を検討するために,測定電極の周囲に設置した補助電極の大きさを変化させることにした。まず,電流計が接続されている測定電極周囲に設置した補助電極の大きさを実験装置の中心から見て,±45度と±30度の大きさにして実験と数値電界解析を行った。その結果,従来の実験結果に比較して,電流計が接続されている測定電極周囲に設置した補助電極の大きさが±30度になる時が,1.3~1.5倍程度も静電容量が大きく計測されることを明らかにした。 これらの結果をまとめて,電気学会論文誌基礎材料共通部門誌に,「分布誘電率推定のための長間隔測定電極を用いた静電容量計測における円弧形補助電極の影響」Vo.129,No.42,pp.197-204(2009)というタイトルで論文を発表した。これによって,従来問題となっていた分布誘電率推定精度が,1.3~1.5倍程度向上するものと考えられる。今後は,さらに補助電極の大きさを検討し,分布誘電率推定の実用化について検討する予定である。
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