研究概要 |
本研究課題の目的は,圧電振動型触覚センサの設計の体系化を計るとともに,食品の物性値測定に関する基礎的事項を明らかにし,触覚センサの適用の可能性について検討することである。平成20年度は,主として食品の物性値測定のための基礎的事項の検討を行うとともに,圧電バイモルフ振動子を用いた新しい構成・検出法の触覚センサの検討を行った。以下に,本年度の研究実績の概要を示す。 1.食品の物性値測定の基礎検討 食品や食品素材の物性値を簡便に測定するための実験及び解析シミュレーション環境を整えるとともに,試験片の弾性特性及び粘弾性特性の測定手法について検討を行った。まず,異なる厚さの試験片に対する変位-荷重特性や荷重の印加範囲と弾性率の関係を実験的に明らかにした。次に,試験片の弾性特性を解析するために,有限要素法による接触解析を行い実験結果と良く一致することを示した。更に,試験片の応力緩和特性から変位荷重の印加速度と粘弾性特性の関係を実験的に明らかにした。 2.圧電バイモルフ振動子を用いた触覚センサの検討 従来方式の触覚センサは,対象物との接触により振動子の共振周波数が変化する現象を利用している。圧電バイモルフ振動子を用いた新しい構成の触覚センサは,振動子の駆動電極を定電圧・定周波数で駆動し,対象物との接触による検出電圧の振幅及び位相特性から対象物の硬さを推定する方式である。まず,圧電バイモルフ振動子先端に接触子を取り付けた構造の触覚センサを試作した。次に,従来方式での触覚センサの特性及び新しい駆動検出方式での特性の実験的検証を行い,その差異を明らかにするとともに,触覚センサとしての適用の可能性を検証した。
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