弾性表面波センサに限らず化学センサにおいては、感応膜は非常に重要な要素である。一般に特定の物質を識別するためには複数のセンサを並べ、それぞれのセンサの出力をパターン化する方法が用いられる。本研究では、弾性表面波デバイスの特徴である同一平面に複数のセンサを並べ、その各々に特別の感応膜を塗布し、ガスの化学種の検出能力を高めることを目的にしている。 昨年度は、決められた狭い位置に正確に、しかも複数の感応膜を同時に塗布する方法を検討した。その結果、4種類の分子膜を2×2mmの大きさで(以後「簡易LB膜法」と呼ぶことにした)を同時に、感応膜として塗布することが出来た。また本方法によれば、数層の分子膜が簡単に製作できることが分かった。特に、この分子膜では、各膜に選択性を持たせるため、目的とするガス種の分子を母体となる感応膜の物質中に混入することによりテンプレートが簡単に形成できることが確認された。 本年度は、この方法を実用化するためのシステムを構築すること目標に研究を行った。その結果、複数のSAWセンサをそれぞれ識別のためにRFID機能を有するセンサとそのためのシステムを試作することができた。また多機能化のためセンサのネットワークを構成するのに必要なワイヤレスなセンサとそのための無線システムの開発を行った。
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