研究概要 |
本研究は、振動膜等の物体を一切使わずレーザ光により音を直接検出する方法、あるいは光の中から音情報を取り出す方法(以下,「光波マイクロホン」と総称)の基盤技術の確立を行うことを最終目標とする。特に実用化の視点からはSN比の改善が最重要課題として絞られてきているが、本研究では光波マイクロホンを構成する各主要部(光源、光ビーム(音センサ)部、光検出器、電気信号処理部,等)について、信号増大やSN比改善、高機能化等について理論及び実験の両面から検討する。本年度は、主として光学系(レーザ光源部、音検出部にあたるレーザビーム部、光検出部)の検討を行った。具体的な結果は以下の通りである。 (1)レーザ光源と光検出器回路の最適化の検討:信号出力は入射レーザパワーに比例すること、レーザパワー増大(28mW)で従来値より4倍以上の信号強度改善が得られ、逆バイアス電圧を上げればさらに増大できること、等を示した。一方、信号回折光検出について、検出抵抗の上昇により従来値より10倍以上の信号増大が可能なことを示した。ノイズの検討と低減化は今後の課題として残った。 (2)音受信用レーザビーム部の構成法による信号増幅の検討:基本要素的な反射形ダブルビームによる音信号増倍効果やレーザビーム間隔と信号強度との関係などを明らかにした。光共振器形の反射光学系による信号増幅の試験も着手したが、本年度は装置の設計試作に留まり、性能試験は今後の課題となった。 (3)光学情報処理部の検討:信号増大という視点から、光学情報処理部(受光側の光学システム)を再検討した。光学機器で用いられている各種光学系について光波マイクロホンの光信号処理への適用性、信号増大改善性等を検討したが、従来から用いている標準的なフーリエ光学系が適していることを示した。
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