研究概要 |
本年度は,動的協調視覚センサネットワークの構築を最終目的として,以下の2通りの研究遂行手順をとった.いずれの研究も初年度としては優れた成果が得られたと考えている. 1つは,3次元空間上での協調制御に向けた研究である.具体的には,3次元空間上での姿勢同期制御と題した研究に取り組み,受動性に基づいた協調制御という新規の理論結果を導いた.その後,これを位置姿勢同期制御へと拡張し,期待通りの研究成果があげられたといえる.これらの研究は被覆領域への移動体の誘導という動的協調視覚センサネットワーク構築の一部を担うだけでなく,それだけを切り出したとしても世界的に見て十分独創的な研究となっている.現在視覚情報に基づく理論へとこれらの成果の拡張を試みているところである. もう1つは,2次元空間上での被覆制御に関する研究である.ここでは,より現実的な状況設定として,各移動可能なセンサが異方性をもつ(センシング精度が対象物との角度にも依存する)という仮定の下での被覆制御則を提案した.特に,本プロジェクトのように移動体にカメラを搭載する状況を考えるとき,このような理論は必須であると考える.また,完全とはいえないものの,現在本理論の三次元空間への拡張も試みており,その見通しは明るい.さらに上の3次元空間上での協調制御の枠組みを組み込むことでより現実的かつ高度な理論への展開が期待される.加えて,実験環境整備にも着手し,動的協調視覚センサネットワークの構築実験が可能なレベルのものが完成しつつあるところである.実際,上記の研究成果の有効性検証実験を理論的結果の導出と同時進行で行っており,いずれも期待したとおりの結果を得ることができている.
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