研究概要 |
システムの安全性に対する社会的な意識の向上に伴い,昨今では「安全性も重要な品質である.安全性と制御性能の間にはトレードオフがあり,バランスが重要」と広く認識されるようになってきた.本研究では,この従来漠然と意識されていたトレードオフの明確化を強く意識し,そのバランスを国際安全規格に準拠したオーサライズされた形で制御則というロジックでとる新しい技術を確立することを目的とした. 1.安全性の観点においては,国際安全規格IEC 61508に準拠して制御則の品質としての安全性を定量的かつ確率的に評価する枠組みを整備し,様々なタイプの共通原因故障を扱えるように拡張した. 2.制御の観点においては,もっとも重要な正常時の制御性能を,故障時の制御性能に比べて,どの程度重要視するかの定量的尺度を導入し,正常時と故障時の制御性能指標とのバランスをとる制御則設計の枠組みを構築した. 3.安全要求が高ければ達成可能な正常時制御性能は低くなるという,安全性と制御性能の間のトレードオフの存在を例によってはじめて定量的に示した. 4.安全要求及び故障時制御性能に対する要求をクリアした上で正常時制御性能指標を最適化する形で安全性と制御性能の間のバランスをとる制御則設計の枠組みを構築し,そのアルゴリズム化,ソフトウエア化を行った.
|