研究概要 |
本研究の目的は,時変の通信遅延と情報スケーリングを考慮したテレオペレーションシステムに対して,理論的に漸近安定性を保証した協調制御則を提案し,その有効性を実験的に検証することにある。この目的を達成するため平成19年度は以下の2項目に関して研究を行った。 (1)小型マスターロボットアームの構築と数理モデルの導出 まず,ロボットアームと固定台等を導入し,小型の2軸マスターロボットアームを構築した。さらに実時間ディジタル制御装置を既存の高速リアルタイムDSP装置,RT-LinuXに基づく制御装置と併合し,高速,高精度実時間ディジタル制御環境へと発展させた。次に研究代表者の研究室の既存の大型DDロボットアームとの通信環境を整備し,上記の小型ロボットアームと大型のDDロボットアームから構成されるテレオペレーションシステムを完成させた。作成したロボットアームの運動学,動力学モデルを計算し,そのモデルを元に同定実験を行い,小型アームのモデルパラメータを同定した。 (2)協調制御則に関する研究 本研究では,通信遅延を有する異構造テレオペレーションに対して,漸近安定性を保証した受動性に基づく協調制御手法を提案した。具体的には制御手法における同調制御則のマスタおよびスレーブのゲインを,異構造を考慮して個々に設計できるコントローラを提案した。これにより,先行研究で問題であった追従誤差を小さくすることが出来た。加えて,位置と力のスケーリングの大きさを別々にすることを可能とした。また実際に構造とスケールの異なる2貧台2自由度アームを用いた実験により,提案手法の有効性を検証した。
|