研究概要 |
本研究の目的は,時変の通信遅延と情報スケーリングを考慮したテレオペレーションシステムに対して,理論的に漸近安定性を保証した協調制御則を提案し,その有効性を実験的に検証することにある.この目的を達成するため平成20年度は以下の3項目に関して研究を行った. (1) 漸近安定性・指数安定性の証明 平成19年度に提案した協調制御則を用いて複数台かつ異構造でスケールも異なるマルチテレオペレーションシステムの漸近安定性の証明を行った.数学的証明のための主な道具として,リアプノフの安定定理と,ラサールの不変定理,バーバラの補題などを用いた. (2) 時変の通信遅延への対応 更に提案手法を時変の通信遅延を含めるように拡張した.そのためには各ロボットアームが受動性を有している必要があるため,各ロボットでローカルに非線形フィードバックを施し,各アーム(エージェント)を受動化する.このようにすることで時変の通信遅延への対応が可能となった. (3) 統合的な制御環境の構築と制御実験による検証 平成19年度に構成した「高速・高精度実時間ディジタル制御環境」を用いて制御実験を行った.これにより上記で提案した制御則と導出した定理の有効性が検証された.
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