研究概要 |
生態系における生物の自己組織化現象を解析し,Turingパターン,螺旋状パターン,カオス的時空間パターンが自発的に形成される過程をシミュレーション解析により明らかにした.さらに,確率システム制御理論を応用して,自己組織化現象制御のための基礎を確立した.具体的には以下の通りである. (1) 魚群を考慮したプランクトン系における自己組織化現象の解析: 植物・動物プランクトンと魚群から構成される捕食者・被食者系において,複数の魚群が領域内を移動する場合を考え,魚群の大きさ,数,移動によって,螺旋状の時空間パターンが形成されることを明らかにした。この螺旋状の時空間パターンは,外乱の影響を受けにくく,BZ反応におけるスパイラルパターンのような非線形現象特有の構造であることも示した. (2) 回復率の飽和を考慮した感染症伝播に伴う自己組織化現象の解析: 拡散効果,アリー効果,感染者死亡率の相互作用により,感染症伝播過程が進行パルス,振動進行パルス,分裂進行パルス,分裂振動進行パルスなどの多様な挙動を示し,特に分裂(あるいは分裂振動)進行パルスではある狭いパラメータ領域において感染者(感受性者も)密度分布がシエルピンスキーガスケット状の時空間的フラクタル構造を自己組織化することをシミュレーションによって示した.また,進行パルス速度への不規則な揺らぎ,アリー効果,感染者死亡率の影響を考察し,揺らぎの有無によって,感染症伝播過程が大きく異なる場合があることも伝播の時空間パターン構造に基づいて明らかにした. 確率最適制御理論を応用し,時空間パターン制御のための基礎を確立した.
|