研究概要 |
劣駆動ロボットでは、アクチュエータの数が全駆動システムに比べて少なくて済むため、コスト、重量、信頼性の点で優れている。そのため、宇宙、深海などでの極限作業ロボットのみならず、今後は家庭での作業ロボットなどの開発においても非常に期待されている。 ところが、多自由度の劣駆動ロボットは、応用のニーズがあるにもかかわらず、その姿勢制御に関する解析、設計理論の進展は遅く、実際的に有用なものは存在しないのが現状である。本研究では、多自由度劣駆動ロボットに装備する複数のアクチュエータを協調駆動させることのできる制御系を設計・解析することを目的とし、本年度の主な研究成果としては、以下のものを挙げる。 1. 任意の1つの関節が非駆動であるnリンクロボットを任意の初期状態から真上平衡点の任意の近傍まで振り上げる制御則の設計、ならびにその動きに関する大域的解析を、非駆動関節の全ての配置に対して統一的に行った。それより、非駆動関節で分けられる2つの仮想合成リンクシリーズの逐次的な構築法に基づき、その振り上げ制御系を設計・解析する方法を確立した。これは、1つの非駆動関節を有するロボットの振り上げ制御に関する従来の成果を統一的に扱うことのできる理論である。 2. 非駆動関節にカウンターウェイトが付いた2自由度劣駆動ロボットを対象とし、エネルギー制御法による振り上げ制御問題を研究した。カウンターウェイトがロボットの動きにいかに影響するかを解析することによって,制御目的を達成するための機械パラメータに関する制約条件と制御パラメータの選定法を与えている。 3. 台車つき並列型の多重振子を対象とし、エネルギー制御法をその振り上げ制御問題へ適用し、その振り上げ制御則を設計するとともに、そのエネルギーの収束性の解析を行った。
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