平成20年度の研究においては長年、水中に晒された既設コンクリート構造物の表面劣化を水中リバンドハンマーと超音波測定器を用いて測定し、水中コンクリート構造物の推定圧縮強度を求める。また、実験室内においてコンクリートの表面劣化を模擬した供試体を作製し、反発硬度と超音波速度からコンクリート表面の劣化度を測定することを目的とする。 平成20年度に実施した研究 1.既設海洋コンクリート構造物の表面劣化度の研究 特定港湾である清水港に設置されている海洋コンクリート構造物の表面劣化度をリバンドハンマーを用いて測定した。調査した構造物は、防波堤、護岸、岸壁で設置からの経過年数は、35年から73年経過している。調査の結果、海上大気中、干満帯より海中の反発硬度が小さく、したがって海中部の表面劣化が大きいことが判明した。 2.コンクリートの表面劣化程度が超音波伝播速度および反発硬度に及ぼす影響に関する研究コンクリートの表面劣化を電気促進養生によって強制的に生じさせた結果、普通ポルトランドセメントを用いた供試体の超音波伝播速度は、養生期間8週目から徐々に低下した。まだ、反発硬度は、養生期間初期から急激に低下した。 3.新設コンクリートケーソンの経年変化に関する研究 高炉セメントを使用したコンクリートケーソンの反発硬度を海中に設置直後から計測し、反発硬度の経年変化を求めた。その結果、設置3年後の表面硬度は設置直後より大きく、したがって表面劣化は生じていないことが判明した。
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