研究概要 |
超高強度グラウト(スーパーハイパフォーマンスグラウト)を製造するための配合方法について実験を行い,150N/mm^2以上の強度を実現するための配合設計に影響を及ぼす要因についてこれまでの研究で明らかにしてきた.水粉体比が12%~20%の非常に小さい配合条件では,強度は水セメント比のみならず練り混ぜ方法によっても影響を受けることが実験より確認されたので,今年度は練り混ぜに用いる羽の形状,ならびに粉体に占める砂の割合が強度に及ぼす影響について検討を行った.羽の形状の違いによる強度差は実験からある程度確認されたが,定量的に明らかにするまでには至っていない.しかし,グラウトの練り混ぜ性能を改善することにより,グラウト強度のバラツキを小さくすることができるために,低水セメント比のグラウト製造のためのミキサーを開発した.低水セメント比のグラウトの練り混ぜにおいて,砂が混在することにより砂が粉体と水とをせん断する効果があるために強度の発現も良くなることが実験により確認された.しかし,粉体に占める砂の割合が増加すると,強度の増加に影響を与え,セメント量の10%程度を目安にするのが良いことが確認された. 低水セメント比におけるグラウトの流動性を確保するために,フロー値に影響を及ぼす因子を試験結果から整理し,配合からフロー値を予測する方法について検討を行った.フロー値は水セメント比との相関性はよく,また高性能減水剤の添加量もフロー値に影響を与えるが,砂の添加量の影響はほとんど認められなかった.これらの要因を考慮して,フロー値の予測式を定式化した.さらに,定式されたフロー値の予測式は,実験結果を良く表していることが検証された.グラウトに要求される流動性を設定し,定式された予測式を用いることにより,水セメント比,高性能減水剤の添加量を配合設計時に決めることができるために,超高強度グラウトの製造を容易にすることができるようになった.本結果は工学的に有益であると考えている.
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