本研究はコンクリートに使用するとアルカリシリカ反応(ASR)を起こす可能性のある骨材の生産現場である砕石工場の切羽での反応性骨材原石の分布状態を明らかにすること、並びに、切羽・産地別のASR反応性の特徴を把握・分類するモデルの確立を目的としている。わが国のASR反応性骨材岩種には火山岩系の安山岩と堆積岩系のチャートや珪質粘板岩があり、いずれの岩種も全国各地に分布している。先ず近隣で多数の被害を発生させている反応性チャート・珪質粘板岩の砕石切羽や骨材採取場を選び、地質状況を調査し、また骨材の特徴・品質、生産現場の製造実態などを調査し、併せて採取した骨材の反応性を実験室内で調べた。 最初に愛知県及び岐阜県の砕石場の切羽の地質調査を行い、骨材原石用の岩石試料を採取し、それらの岩石について偏光顕微鏡観察用の薄片を作製し観察した。また、JIS A1145化学法及びJIS A1146モルタルバー法の試験を実施するために、研究用クラッシャにて採取岩石を破砕し、試験用試料を作製し、化学法試験や膨張率測定(24時、1週、2週、1〜6ヶ月等)を行った。併せて、反応進行後のASR反応生成物を調査するために供試体作製時の残余のモルタルで塊状物を作製し、偏光顕微鏡や走査電子顕微鏡観察用試料として準備し、反応進行時点で用いることとした。 結果では、堆積岩の反応性及び地域別の特徴として、近隣及び同一工場内でも、地質、岩石の微細構造、化学法、膨張挙動等が複雑に変化し変動が大きく、また化学法とモルタルバー法の判定で不一致が多い。現行の反応性の評価基準は検討が必要であると思われる。次年度は同地域の再精査及び安山岩砕石の原石切羽を調査する予定である。
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