研究課題/領域番号 |
19560467
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
米倉 亜州夫 広島工業大学, 工学部・都市建設工学科, 教授 (00034372)
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研究分担者 |
伊藤 秀敏 広島工業大学, 工学部・都市建設工学科, 准教授 (90104067)
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キーワード | 耐酸性コンクリート / 硫酸劣化 / 混和材 / 高炉フューム / 化学的侵食 / フライアッシュ / 砥石粉 / シリカフューム |
研究概要 |
下水道コンクリートの微生物が介在する硫酸によるコンクリートの劣化は、セメントと水との水和反応によって生成される水酸化カルシウムと硫酸とが反応して二水石膏が生成され、その石膏が泥状に軟化するためである。従って、水酸化カルシウムの生成をできるだけ少なくすることが、耐酸性を得る方法となる。 そこで数年にわたる本研究では、セメントの使用量を混和材で置換することによって、出来るだけ少なくすると共に、混和材のポゾラン反応や潜在水硬性による反応によって水酸化カルシウムを消費してしまうことを考え、初期強度発現性の大きい高炉フュームと長期強度の増進に寄与するフライアッシュまたは高炉スラグ微粉末を併用した三成分系結合材とすることによって、硫酸濃度10%でも従来のコンクリートよりも10倍以上劣化しないコンクリートを得てきた。しかし、高炉フュームは中国の小型溶鉱炉の炉頂で集塵される灰で近代化に伴って消滅していくと思われるので、本研究では、高炉フュームに替わる混和材を用いて耐硫酸性の一層大きいモルタルの開発を目指すと共に、モルタル内の鉄筋の腐食状況を調べることにより、硫酸がモルタル内に浸透しにくい密実なモルタルの開発研究を行うことを研究の目的とした。その結果、普通ポルトランドセメント50%、アルミナ(Al_2O_3)とシリカを多く含有する砥石粉25%、高炉スラグ微粉末25%の三成分系モルタルが硫酸濃度5%希硫酸に浸漬したときの質量減少率がほとんどなく、硫酸劣化が小さいと思われたが、強度発現が小さく、硫酸浸透深さが大きく、供試体外観はあまり変化なくても、硫酸が浸透した部分は顕微鏡観察の結果ポーラスになっていた。鉄筋コンクリートにした場合、鉄筋が早期に腐食した。砥石粉の半分をシリカフュームで置換した四成分系モルタルの場合、耐硫酸性と初期強度発現性が得られた。耐酸性を評価する場合、硫酸浸漬による質量減少率とコンクリート内への硫酸浸透の両面から調べる必要がある。
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