研究概要 |
戦後,我が国で建造された膨大な数の社会基盤施設が今後老朽化していくことから,構造物の健全度をセンサによってモニタリングしていくことが重要である.今後センサや無線センサネットワークの低価格化に伴い,大量のセンサを構造物に設置できるようになると考えられるが,膨大な量のセンサデータから有意な結論を導くための知識発見に関する方法論は確立されていない.そこで,本研究では,センサのデータモデル,構造物のプロダクトモデルおよび知識表現モデルを融合させたデータモデルを構築し,これに基づいた大量のデータから有意な知識が発見できるようなデータマイニングの方法論を開発することを研究目的としている. センサデータモデルは,防災科学技術研究所の実大規模の大型震動台設備E-Defenseのために開発されたイベントに基づくデータモデルをべースとして開発を行った.次に,データマイニング等によって有意な知識を発見することができるように,プロダクトモデルと本研究で開発したセンサデータモデルを統合化した統合モデルの開発を行った.統合モデルの開発にあたっては,構造モデルと無線センサネットワークImote2を使用して振動台実験を実施し,各種データを本研究で開発を行ったデータモデルに従ってデータベースに格納した.最後に,統合モデルに従って格納されたデータを用いてデータマイニングを実施した.振動台実験の模型は,2層のフレームモデルで,ブレイシング(筋交い)の有無による振動の違いをデータマイニングによって学習し,判定可能かどうか試験した.実験の結果,不完全ではあるが,実行可能であることを確認した.
|