研究概要 |
本研究の目的は,高速道路トンネルの換気ファンの電力消費を軽減するための新しい手法を開発することである.自動車が高速で走行する際に生じる自動車-道路面間の強い負圧を利用し,トンネル内の道路面に設けた外気吸気孔を経由してトンネル内へ外気を吸引させ,その代替として換気ファンの稼働率を下げることが狙いである.この手法を適用した揚合に,トンネル内に吸入される外気の量がトンネル換気の補助として寄与する度合いを調べ,最終的には本手法によるトンネル換気の補助効果を電力に換算し,既設の換気ファンの稼動率・電力負荷をどの程度軽減できるのかを定量的に明らかにする.以上の研究目的を達成するために,本年度においては,研究実施計画に従って,高速で自動車が通過する際の道路面上に作用する圧力変動を屋外実験により計測した.大きさが異なる3種類の自動車を用いて,道路面上に配置した圧力センサーの上を70〜120km/hの車速で繰り返し通過させ,圧力変動の時刻歴を逐一測定した.得られた圧力変動の車速や地上高,車長との相関を調べ,その特性を明らかにした.さらに,この圧力変動のモデルを周波数領域において作成し,圧力変動の時刻歴を自在に作成できるようにした.本モデルにより作成された圧力変動の時刻歴データは,屋外実験により計測された波形と整合し,実際の現象を高精度で模擬できることを示した.この圧力変動モデルは次年度の研究計画として実施予定の数値流体解析による外気吸入シミュレーションに用いる.
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