研究概要 |
本研究の目的は,高速道路トンネルの換気ファンの電力消費を軽減するための新しい手法を開発することである.自動車が高速で走行する際に生じる自動車-道路面間の強い負圧を利用し,外気吸入パイプを経由してトンネル内へ外気を吸引させ,その代替として換気ファンの稼働率を下げることが狙いである.この手法を適用した場合に,トンネル内に吸入される外気の量がトンネル換気の補助として寄与する度合いを調べ,最終的には本手法によるトンネル換気の補助効果を電力に換算し,既設の換気ファンの稼動率・電力負荷をどの程度軽減できるのかを定量的に明らかにする.以上の研究目的を達成するために,本年度においては,研究実施計画に従って,高速で自動車が通過する際の道路面上に作用する圧力変動による外気吸入効果を数値流体解析により求めた.そこでは,昨年度の本研究の成果で得られた圧力変動モデルを利用している.この圧力変動を吸入パイプのトンネル側開口部に数値的に与えて数値流体シミュレーションを行い,吸入パイプ内の気流の挙動を得た.また,トンネル側開口部とトンネル外開口部とでの流量を求め,トンネル内へ吸入される外気の量を算出した.その結果,トンネル側開口部が負圧となる場合,および圧力勾配が負となる場合に通気するように制御を行えば,本手法により外気をトンネル内に吸入できることがわかった.しかしながら,このような通気制御を行わない場合は,自動車前方に発生する正圧により吸入パイプ内にバックフローが生じ,その結果として外気吸入効果が得られないことが判明した.
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