研究概要 |
検討対象サイトである東北工業大学の建物・地盤系において、申請書に記載の予定通りPS検層による地盤調査を行った。建物建築時のデータから15mのボーリングを予定していたが明瞭な基盤が現れず、実際には、25m必要となった。また、現地へ赴いた機会を利用し、建物と地盤の常時微動観測を行った。これにより、検討対象建物及び地盤情報は信頼性の高いものとなった。併行して、東北工業大学で観測された記録を処理し、基礎と地盤の伝達関数から構造物に対する入力損失を評価するためのプロトコルの構築を行った。その結果、ホワイトノイズ信号においても存在するコヒーレンス値(0.3-0.4程度)をコヒーレンスの下限値とし、これを上回るコヒーレンスが得られるような周波数領域の伝達関数信号を用いることとした。これを含む成果は、三神がUCLAのStewart教授と打ち合わせを重ねながら平成19年の夏までにまとめ、国際ジャーナル(Soil Dynamics and Earthquake Engineering,Elsevier Science)へ投稿した。その後、アクセプトされ、現在印刷中である。以上に加えて、東北工業大学で得られている100記録のうち、S/N比に問題がないと判断される約30記録を用いて、震源特性が入力損失に与える影響についての検討を始めた。これまでの検討によれば、内陸型の地震と海洋型の地震で若干異なった基礎/地盤の伝達関数を示す傾向が認められるが、これに関する詳細な検討は、平成20年度に行う。
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