研究概要 |
平成20年度の研究目的は,以下の2つである. 1.SASSIおよびKim & Stewart(2003)のにおいて,低周波数帯では基礎/地盤の伝達関数にバイアスが見られる原因について,杭の影響,上部構造物による慣性力の影響という観点から検討する. 2.埋設のない建物への入力損失に対する震源特性の影響を明らかにする.入力損失に影響を及ぼす(1)地震波の斜め入射,(2)地震波動伝播経路の不均質性,(3)震源の広がり,について,入力損失を代表するパラメーターと震源特性との関係を統計学的に調べる.以上の検討は,東北工業大学提供の地震観測記録他を用いる. 1について,まず,杭が基礎/地盤の伝達関数に影響を及ぼすかについて,実サイトに対して検討を行ったところ,無視できない程度の影響が認められた.しかし,杭の影響をもって,基礎/地盤の伝達関数の低周波数領域のバイアスを十分に説明できなかった.そこで,慣性力の影響について引き続き,検討している. 2次に,Base Slab Averaging効果による入力損失に対する震源特性の影響について検討した.震源特性を代表させるパラメーターとして,震源深さ,震源距離,マグニチュードなどを選択し,実記録による伝達関数に対し,解析モデルをベストフィットさせた時のインコヒーレンスパラメーターで評価した.しかしながら,これらの震源特性に関わるパラメーターによる明瞭な影響は認めちれなかった.よって,今後,他の方面からの検討も必要である.
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