研究概要 |
本年度は,試作した風向変動風洞が,より広い範囲の風向変動を再現できるかどうかを検証することと,風向急変時に構造物模型に作用する空気力の特性の検討を目的として以下の研究を実施した. 風向変動風洞には,前年度までに,コンピュータ制御のシャッターが8台設置されていたが,さらに2台増設して計10台とし,シャッターを1枚ずつ開閉した場合で90°,連続する2枚のシャッターを同時に開閉した場合で67.5°までの風向変動を生じさせることができるようにした. 昨年度は,平均風速と乱れ強さの分布が風路によってある程度の違っていたことから,そうした違いを低減させるとともに,より圧力損失が小さくなるように,風路の形状の改良を試みた.具体的には,シロッコファンへの流入出口部分の部品の形状を改良するとともに,コーナーベーンの形状も剥離を抑えるように改善した.その結果,風路による違いを低減させるとともに,風速の変動により生じる乱れ強さを半分程度にすることができた. 風向変動については,一番大きな90°または67.5°の風向変化を主な対象とし,コンピュータ制御のシャッター開閉のタイミングを調整して,風向変化時に瞬間的な風速変動が生じないようなタイミングを明らかにした. 風向急変時に構造物に作用する空気力特性については,当初角柱模型に作用する変動圧力を測定することを計画していたが,風向を急変させた際には風路内で圧力が急変するために,単純に測定することは困難であることがわかった.そのため,風車模型を用い,その支持部に貼付したひずみゲージを用いて,風車模型に作用する空気力特性について検討した.風向急変時には,定常時とは異なる空気力のオーバーシュートが生じる場合があることがわかり,その特性について予備的な検討をすることができた.
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