研究概要 |
19年度,20年度に実施した室内要素試験を基に土質パラメータを設定した2次元有効応力解析により,19年度に実施した遠心模型振動実験の結果をシュミレーションし,液状化地盤上のタンク沈下量の定量評価に対する適用性を検討した.その結果,継続時間が長い地震波を入力した方がタンクの沈下量が大きくなるという傾向を概ね再現ができた.一方,解析値は実験値よりも沈下量が20%~60%程度大きくなった.これは再圧密特性を規定するパラメータの設定によるところが大きく,定量評価の精度を向上させるための課題があるとことがわかった.またタンク直下地盤の鉛直ひずみの発達メカニズムに着目すると,直下地盤のK値(側方土圧係数)が変動し,K値が増加して1に近づいた要素がより変形しやすくなっていることがわかった. さらに液状化地盤における実タンクを対象とした2次元有効応力解析を実施し,タンク基礎の沈下に対する地震動の継続時間,タンクの規模および液状化地盤の層厚の影響についてパラメータースタディーを実施した.その結果,タンクの沈下量は,液状化層厚に比例して大きくなることがわかった.一方,タンクの規模(直径・液深)に対しては沈下量との明確な相関は見出せなかった.地震動の継続時間および最大加速度値と沈下量には相関が明確に認められ,特に,継続時間の影響が大きいことがわかった. タンク底版にタンク内容液のスロッシング荷重を与えた解析では,周辺地盤が液状化した場合,タンク基礎地盤は,スロッシング荷重の影響により,地震動継続中に発生する沈下量に対して10%~20%程度の沈下が発生することがわかった.このことから,スロッシングがタンクの沈下に及ぼす影響は地震動のそれと比べると限定的にとどまることがわかった.
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