研究課題
北部九州に位置する有明海湾岸低平地域の表層には、海成の有明粘土層と非海成層の蓮池層からなる軟弱粘土層が厚く堆積している。これらの軟弱粘土層の上では、諌早湾干拓や有明海沿岸道路のビッグプロジェクトを始めとする種々の建設現場が存在し、化学的地盤改良技術の採用、あるいは検討がなされている。化学的地盤改良技術は決して新しいものではないが、その社会問題化が後を絶えない。この問題を解決するために、本研究では:(1)化学的改良土における物質循環の解明;(2)物質循環が認められる場合の具体的な問題の解明;(3)この結果が化学的改良土の品質や周辺環境に及ぼす影響の解明、に取り組み、(4)対策の提案を行うことにより、地域・社会貢献を果たそうとするものである。本年度に得られた成果は次のとおりである。まず、種々の固化材を用いて軟弱粘土を改良し、供試体パターンF(含水比調整、固化材の種類、配合量、撹搾方法、作成方法、養生日数)により供試体を作製し、それらの固化特性および締固め特性を得た。次に、前述と同様の固化・締固め供試体を用いてタンクリーチング試験を行い、環境学的性質に関する検討を行った。タンクリーチング試験時にエアレーションの有無の条件を加えた結果、試験開始時にはpHが11を示していたものが8にまで低下した。このことから、化学的改良土の品質や周辺環境に及ぼす影響の解明に際しては、物質循環における二酸化炭素の挙動を十分に考慮する必要があることがわかった。また、化学的改良土の微視的土構造と強度発現メカニズムに関する検討を行った結果、固化材の性質・配合量に伴い微視的土構造はユニークな変化を示すことがわかり、このことが化学的改良土の物質循環に及ぼす物質の固定特性を左右する鍵である可能性が示された。
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土と基礎 Vol.56, No.1
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Reports of the Faculty of Science and Engineering, Saga University Vol.36, No.1
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