本研究では、剛な載荷板により最大主応力2方向を拘束し、最小主応力方向は柔な境界で拘束することによって大変形せん断試験が可能な三軸伸張試験機を作成する。そのうえで、砂の非排水せん断試験を実施し、液状化・大変形する砂の定常状態におよぼす中間主応力条件の影響を明らかにすることを目的としている。当初は互いに重なり自由移動する多数の小さな薄板を独立に支持して全体としては平面性を維持しつつ面内方向には抵抗なく伸縮可能な載荷板を開発することを考えていたが、このような機構をもった載荷板および載荷装置であると装置全体の機構が大変に複雑かつ大型になってしまう。それに伴い、装置の作製と維持管理に多額の経費を有する上に、実験操作が非常に複雑になり、多くの実験を実施することが困難になることが予想された。そこで詳細に検討の結果、砂の円柱供試体に対してその側面を単一の金属または樹脂製の円筒載荷板によって絞り込むように載荷する機構を新たに考案し、このような機構を有する三軸伸張試験装置を製作した。このような載荷機構では、載荷板の剛性や載荷板と供試体の間の摩擦によって載荷荷重が影響を受けるが、適切な予備試験によってこれらを十分な精度を持って補正できると判断した。今後はこれらの予備試験を行った上で、砂の非排水せん断試験を実施し、液状化・大変形する砂の定常状態におよぼす中間主応力条件の影響を明らかにし、地盤の液状化災害に関する研究および技術の発展に寄与してゆく。
|