研究概要 |
地盤の流動問題は,強い地震動を受けた飽和砂地盤の液状化現象,地すべり現象など,特に自然災害に関わる分野でしばしば見られる現象であり,大きな被害をもたらす。しかし,これらの不安定な流動現象については,設計条件に関係しないこと,現象自体が極めて難しいものであることより十分な理解は得られていない。本研究では,不安定流動現象の開始条件と停止条件のメカニズムとそのモデル化を研究する。平成19年度の研究においては,不安定現象を表現できる地盤材料の構成モデルの構築について研究を行った。不安定流動の開始条件は,せん断変形中のダイレイタンシーの発生と密度変化を構成モデルに取り込むことが重要であるとの見地に立ち,密度・および拘束圧依存性を示す弾塑性モデルの適用性について詳細な研究を行った。基本とするモデルは,Li and Dafalias(2000)により提案されたものであるが,このモデルを特に液状化による流動問題に重要な経路である強制体積変化経路,ひずみ増分比一定経路における挙動を検証した。その結果,このモデルは,安定な変形挙動ばかりでなく不安定流動挙動へも適用可能であることが確認された。また,流動問題への数値解析手法の基本的検討,液状化現象に関わる様々な要因(多方向載荷,再液状化へのクイックサンドの影響)についても,実験的研究を行った。
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