研究概要 |
昨年度では,地形,地質,植生が不飽和土の浸透特性を特定化する要因であることを明らかにしてきたが,広範囲の植生判別作業は困難を有することから,画像解析と踏査による植生判別を試みた。空中写真によるRGB解析と実際の植生踏査の関係から植生を判別するものである。その結果,植生判定のアルゴリズムを作成し,対象地域(中部大学恵那キャンパス)において初年時よりも細かな植生判別を行えることが可能になった。現場より採取した土質試験に加えて不飽和透水試験,保水性試験を実施した。特に,ヒステリシスを有する排水過程及び湿潤過程で体積変化を考慮し水分特性曲線を求めた。中部大学恵那キャンパスの浸透特性を地形,地質,植生から推定を行った結果と実際に得られた結果を比較した結果,飽和体積含水率の推定は非常に良い精度で得られたが,空気侵入値に関するパラメータの精度が不十分で,植生から土の物理的性質を推定する過程での誤差に起因するものと考えられた。原位置で砂質土地盤における不飽和浸透挙動の計測方法として,地表型地中レーダを提案し,測定された断面2次元浸透流における浸潤前線位置は浸透流解析による数値シミュレーション結果と良好な一致が得られた。 本年度より,「森の健康診断」の活動とともに植生調査及び浸透能実験を行い,対象地域の拡大について検討をはじめた。植生調査は「森の健康診断」実施時による踏査と土のサンプリングを行った。さらには岐阜県林政部治山課が作成した単位斜面メッシュの植生情報などを入手しており,最終年度は対象地域を拡大した浸透マップの構築と斜面の危険度評価を検討する予定である。
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