研究概要 |
福井県の北部,石川県との境には北潟湖〔きたがたこ〕が汽水を湛え,その南西方向約10kmには地方港湾である福井新港が日本海に面している.北潟湖,福井新港ともに定期的に浚渫工事を行っているが,浚った土砂の大部分は発生土処分場に移送されるか,港湾用地に野積みされている実状にある.一方,二つの浚渫土発生箇所のほぼ中間には建設廃棄物中間処理場があり,そこからは粉砕した廃石膏ボードが多量に搬出されている.現時点において処理量と搬出量とは概ね均衡を保っているものの,建築物改装・解体工事の漸増見通しにともない場内残置の累積が懸念されつつある. そこで,これらの用途拡大の一環として平成19年度には(1)「湖沼底泥-海砂-廃石膏ボード粉混合材料」の固化に適する安定材の選定,(2)安定処理した混合材料の支持力および強度特性の把握,(3)道路の路盤築造材・路床構築材への転用の可否の確認,(4)多層弾性構造解析プログラムを用いたアスファルト舗装の断面設計を行った.このうち,(1)についてはセメント系固化材,高炉セメントB種,工業用消石灰を試用したが,(2)の結果からフミン酸を含有する湖沼底泥の利用を考慮するとセメント系固化材が有利との判断にいたった.ここで,(2)において廃石膏ボード粉の役割は混合材料の見掛けの含水比を低下することにあり,それがCBRや-軸圧縮強さq_uの増加に関与することがわかった.また,(3)で材齢28日の供試体のレジリエントモデュラス(Mr)を求めたところ,既存の粒状路盤材料に相当,もしくは,それらを上回るMr値を得た.その結果,(4)の演算において,舗装計画交通量によっては路床(原地盤)の上に一層路盤とした断面でも力学的安定を確保できる可能性が示された.なお,ジオテキスタイルとの併用効果に関しては定圧一面せん断試験を継続して解明する.
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