研究概要 |
前年度からの継続試験として,湖沼底泥と海砂とを乾燥質量比1:1で組み合わせた母材A,2つの浚渫土砂と廃石膏ボード粉とを1:1:1で組み合わせた母材Bに,これら母材の乾燥質量の10%または20%に相当する量のセメント系固化材を添加して作製した供試体のせん断強さ,せん断抵抗角および粘着力を求めた.ここで,供試体の寸法は直径100mm,高さ50mmであり,これを厚さ0.25mmのジオテキスタイル(織布:引張強さ1570N/3cm)で包む場合と包まない場合とでせん断抵抗特性を比較した.なお,供試体の養生(20℃)日数の最短は2日,最長は14日とした. この定圧一面せん断試験の結果から,次のような新たな知見が得られた. (1)せん断応力-せん断変位曲線において,ジオテキスタイルで包んだ供試体のせん断応力は2点で卓越する.このうち,最初の卓越で中の固化混合物は破壊するが,ジオテキスタイルの有する引張強さと伸びの効用により,第二の卓越でもせん断応力は低下しない. (2)垂直応力とせん断強さとの関係において,せん断抵抗角は養生日数の経過とともに大きくなる.それでも,ジオテキスタイルで包んだ供試体と包まない供試体との角度差は13°~22°にいたる.一方,粘着力については後者の方が全般に大きくなる. (3)ジオテキスタイル被覆の有無にかかわらず,締固め度<80%で作製した固化混合物のせん断強さはせん断抵抗角に依存する兆候が認められるのに対して,およそ85%で作製した固化混合物では粘着力の関与する部分が多くなる傾向にある.
|