研究概要 |
(1) 足羽川で掘り出された丸太基礎の健全度評価 前年度に行った足羽川の木杭の健全度評価に用いた丸太と同樹種,同寸法の丸太(スギ,カラマツ)の新材を対象としたピロディン試験を行った.その結果,長期間河川水位以下にあった丸太と新材のピロディン貫入量は同程度であることが明らかとなり,足羽川の木杭の健全性を裏付ける結果を得た. (2) 丸太打設による地盤の液状化対策効果に関する模型振動実験 前年度の模型振動実験では,福井県産スギ間伐材で作製した円柱状丸太模型を用いたが,本年度は実際の丸太形状を模擬した錐状模型を利用した.その結果,柱状丸太の周面では地盤深部から地表面方向への排水が促進される効果を示したが,錐状の場合には,その形状により排水効果が低減される傾向を示した.しかし,丸太の摩擦杭としての機能により,上部構造物の沈下抑制効果など,錐状でも柱状と同等の効果が得られることが明らかとなった. (3) 実地震で発生した液状化が木杭に与えた影響に関する事例調査 1923年関東地震を調査した結果,ヒノキが液状化により地表に浮上したが,その木杭は725年間経過後も健全であったと推察された.また,2007年新潟県中越沖地震を調査した結果,海底地盤の液状化で海底面まで古木が浮き上がったが,海水面上にまでは浮き上がらない事例を示し,何千年のオーダーであっても木材が海中の地盤中にあれば虫害や腐朽で体積を失うことがないことを明らかにした.
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