研究概要 |
画像解析手法を用いて地下水流の流向流速を連続的にモニタリングできる連続式流向流速計の浮きセンサと本体部との接続治具に改良を加え,大型水槽で3種類の浮きセンサ((1)径=10mm,長さ=140mm,(2)径=10mm,長さ=215mmおよび(3)径=15mm,長さ215mm)を用いた室内実験を基に,その適用性と測定精度について検証した。その結果,次のことが明らかになった。1)浮きセンサ頭部の移動量は,移動速度が1×10^<-3>m/sより速くなると,各ケースとも徐々に移動量が急増することがわかる。この傾向は,浮きセンサの径が太く,長さが長くなるほど顕著である。2)移動速度が1×10^<-3>m/s以上では,速度変化に伴う浮きセンサ頭部の移動変化量が大きく,1×10^<-3>〜1×10^<-2>m/s程度の範囲では地下水流速を比較的精度良く測定することが可能である。3)移動速度が1×10^<-4>〜1×10^<-3>m/s未満の範囲については,速度変化に伴う浮きセンサ頭部の移動変化量が小さく,今回用いた浮きセンサの大きさの範囲では,浮きセンサ頭部の移動量の算定誤差が流速算定時の精度に大きな影響を及ぼすことがわかった。このことから,1×10^<-3>m/s未満については,地下水流速にあわせて適切な浮きセンサを選定し測定することが必要であることがわかった。4)連続式流向流速計の浮きセンサの傾斜方向は,検証実験では移動速度の違いによる差はなく,全方向ともほぼ正確な方向に浮きセンサが傾斜することを確認した。このことは,実験時に採用した下端部ヒンジ構造が任意方向の地下水流の流向測定に対して十分な機能を発揮したものと考えられる。5)新たに開発した連続式流向流速計を用いた測定により,ボーリング孔内で地下水流向流速を複雑な後処理計算等も必要とせず,簡易かつ連続的に地下水モニタリングできることを明らかにした。また,実機に近いプロトタイプの実用的な連続式流向流速測定システムを構築した。
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