研究概要 |
都市域において地球温暖化に起因すると思われる水害の危険性は増加していると考えられる。その対策として河川改修などのハード面の他に情報技術によるソフト的な対策が重要である。災害をソフト面で捉える場合、1.数値シミュレーション技法の発展、2.河川のリアルタイムモニタリングシステムの開発、3.現地への通報とそれに対する市民自身による対応、の3つが挙げられる。これらに対応して本研究では、洪水氾濫シミュレーションの高度化として堤防の崩壊過程を考慮できる計算技法を新しく提案した。このモデルは河川水位が上昇して堤防天端上を越水した場合、それに応じて堤防上から浸食が進行し堤防の破壊に至るというモデルある。これを新潟福島豪雨災害(平成16年)の刈谷田川に適用して妥当性を検討した。また、河川水の上昇をリアルタイムにモニタリングできる画像処理システムを開発した。これは太陽光の自然エネルギーを利用した自立式インテリジェント画像処理システムであり、安価でランニングコストが安く、試験的にパイロット的に中越地区の中小都市河川に設置した。住民の避難行動の解析にはマルチエージェントシミュレータを用いて避難状況を視覚的に表現することを試みた。平成16年の福井豪雨時を対象として災害時の人間の避難行動についてシミュレーションを行った。このときの入力条件としては河川の氾濫シミュレーションの結果を用い、これをマルチエージェントシミュレータへ反映させた.この結果破堤の30分前に避難行動を起こすことができれば,災害による人的被害は減少する結果が得られた。
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