研究概要 |
本研究は、大阪湾に流入する外洋起源栄養塩等の動態解析と、大阪湾における既往の水質・底質データの収集・分析、および、各負荷要素のモデル計算により、大阪湾の物質収支に及ぼす非制御系負荷の影響を明らかにすることを目的としている。本年度は、大阪湾阪南港周辺海域と淀川下流域において流況・水質・底質の現地調査と分析を行うとともに、陸域(大阪府内3地点)において降水の採取と栄養塩の分析を行った。また、現地観測と並行して多年にわたる水質・底質データの収集と解析もあわせて行った。 ・阪南港周辺海域において流況・水質測定と採水を行うとともに、底質分析のための採泥を行った。採水・採泥は、阪南港の沖合と全面浚渫窪地において行い、その特性の差異も解析した。その結果、浚渫窪地では周辺に比べて底層の貧酸素化が長期におよび、栄養塩の溶出とともに硫化物の溶出が認められた。 ・出水時の流入負荷量を捉えるために、淀川下流部において橋上から採水を行い、栄養塩の分析を行った。観測期間に1,000ton/secを超える出水が2度観測され、最大流量は3,120ton/secであった。観測結果を基にL-Q式を構築し、淀川からの流入負荷量の算定を行った。 ・大気からの窒素供給量を把握するために、雨水を捕集し分析を行った。捕集ビンを大学構内を含む大阪府内3地点に設置し、降水の採取・回収と分析を行った。その結果、降雨による大阪湾への栄養塩供給量は、大阪湾への流入負荷量の10%以下ではあったが、窒素制限の働く海域においては降雨時に一次生産が増加する可能性が示唆された。 ・既往の観測結果と水質・底質分析結果の整理解析を行うとともに、1990年以降の大阪湾を含む周辺海域と流入河川の水質データの収集と解析を行った。
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