本研究は、大阪湾に流入する外洋起源栄養塩等の動態解析と、大阪湾における既往の水質・底質データの収集・分析、および、各負荷要素のモデル計算により、大阪湾の物質収支に及ぼす非制御系負荷の影響を明らかにすることを目的としている。本年度はデータの収集・解析とあわせてシミュレーションによる栄養塩の動態解析も行った。 ・河口域の底泥性状を明らかにするために採泥し室内分析を行った。 ・降水による大阪湾海面への栄養塩負荷の年総量と季節変動を明らかにするために、雨水の捕集と分析を継続して行った。 ・河口沿岸域の懸濁有機物質の分解過程を明らかにするため、大阪湾奥部において植物プランクトンの採取を行い、室内にて分解・沈降実験を実施した。 ・観測データと収集した資料データを基に、淀川からの流入負荷量の再解析を行い、より精度の高い流入負荷量の算定を行い、既往の手法による算定結果との比較・検討を行った。 ・水質・底質モデルのパラメータ同定を行い、栄養塩溶出および酸素消費の定量化を行った。 ・降雨により負荷された栄養塩が大阪湾の一次生産に及ぼす影響を明らかにするために、境界条件として海面負荷を与えた3次元流動水質シミュレーションを実施し、その影響を明らかにした。 ・大阪湾全域の栄養塩の動態を明らかにするために、本研究成果を取り込んだ3次元流動水質シミュレーションを実施し、紀淡海峡より侵入した外洋起源の栄養塩の動態とその影響について定量的評価を行ったた。 ・水素と酸素の同位体分析を行い、大阪湾を含む周辺海域の海水の起源推定を行った。
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