研究概要 |
前年度に開発した砕波帯混相流可視化手法と現有のデュアルボイド計,超音波流速計など各種センサーを組み合わせて,砕波帯内の液相および気相,特に気相のボイド率および気泡径の測定を行い,これと波高,周期,乱流強度および気泡分布特性の関係について検討した.実験は海底勾配1/30,長さ50mの造波水路を用いて実施した. 実験では,空気混入特性と乱流を含む流速場の時空間変化の同時計測を行った.さらに,ボイド計による多点計測を行うことにより,画像では計測の難しい高ボイド率領域についても併せて測定した.砕波帯における気液混相流の計測結果を解析し,着水後直後に形成される微細気泡(<500μm)の生成,波の峰線に平行な水平渦と崩壊に伴う比較的大きな気泡群の生成(>500μm)について解析を行った.その結果,静水面における平均気泡径と気泡の総運動エネルギーの間には強い正の相関が見られること,静水面における平均気泡径やその鉛直減衰は,液相側の乱れエネルギーと相関があり,ある程度低いボイド率の条件下では,砕波帯の液相側の情報から気相側の推定が可能であることを明らかにした. 以上のように本研究では,画像計測による砕波帯における混入気泡形状および移動速度の直接計測を実施し.得られた実験結果を基に,砕波乱流せん断流による気泡の分裂と移流についての調べ,砕波帯における混入気泡の分布とメカニズムについて評価を行った.これより,時間平均気泡径分布とその時間的変動特性の岸沖・鉛直分布,および移動速度の特性を明らかにすると共に,気泡代表量の特性把握を実施した.
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