研究概要 |
本年度は,大きくは二点についての研究を行いました.まず,第一は,都市における内水・外水氾濫に関する数値解析であり,(1)荒川と隅田川で挟まれた広い範囲を対象として,万一荒川からの越水が生じた場合を想定した外水氾濫解析を行うとともに,(2)2005年9月洪水時に石神井川から越水が生じた事例を対象にしてその内水・外水氾濫解析を行い,その結果のとりまとめを行いました.いずれも各地域の水害特性を明らかにすることができ,今後に有益と考えられる情報,たとえば動画としてのハザード・マップを提示することができました.第二には,都内のある主要ターミナル駅周辺に開発されている地下空間を対象として,この空間への浸水過程の解析を行うとともに,そこから地上へと利用者を効率よく安全に避難させるための誘導ルートや避難に対する基本的な考え方などを提示することを目指して,避難誘導シミュレーション手法の開発とこれを用いた数値解析とを行いました.本研究を通じて,少なくとも対象とした地下空間の場合に採用するべき避難ルートを特定することができたほか,同様の解析を行うことで他の地下空間においても避難ルートの特定が可能であることを示しました.このほか,現在継続中の研究として,2005年9月に東京23区西部(中野区,杉並区など)で発生した水害を対象とした検証計算を進めており,次年度にはその成果を報告できる予定です.今年度の研究経過は以上のとおりであり,計画通りに順調に研究を進めてきております.
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