研究概要 |
砂河川の特徴を持つ木津川中流域砂州と、山地河川の特徴を持つ牧田川上流域区間において, (1)河道表流水と周辺砂州伏流水との水平方向の水交換現象が,河川表流水の水温を安定化・不安定化させる作用を評価する現地観測 (2)河床下の伏流水と,河川表流水との鉛直水交換現象に関する現地観測 を行う一方で,砂河川の木津川では, (3)砂州浸透伏流水が,一時水域である「わんど」や「たまり」の水温環境を安定化させる影響とその機構に関する現地観測 を実施した.具体的には以下の知見を得た. (1)河床鉛直水交換現象の把握: 牧田川上流域河道内の河床において,差圧マノメータを利用した,鉛直水交換現象の把握を行い,瀬上流部において強い下向きの浸透があることを明確に示した. (2)砂州伏流水との水平水交換現象: 牧田川上流域河道内の砂州において、河道表水域からの浸み込みが砂州上流で生じ、瀬を回り込むように復帰する流れが強く生じている。またその一部は砂州内を下流に下り、砂州末端付近で復帰するため、その付近河床では鉛直方向の湧き出しがみられ、その水温は夏は冷たく冬は暖かく安定的であることから、アジメドジョウ等の生物の生息場として利用される環境を維持する機構として明らかになった。 (3)わんど・たまりの「一時水域」の水温安定化機構の解明: 木津川10km右岸砂州の下流端付近の周辺伏流水位分布,水温・水位観測データにより,砂州下流部に存在するわんどやたまりの水温環境は,周辺砂州伏流水の安定した温度環境の大きく影響を受けていることが明らかになった.
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