研究課題/領域番号 |
19560519
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研究機関 | 大同工業大学 |
研究代表者 |
下島 榮一 大同工業大学, 工学部, 教授 (80027276)
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研究分担者 |
玉川 一郎 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (40273198)
堀内 将人 大同工業大学, 工学部, 教授 (00157059)
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キーワード | 水資源 / 水環境 / 乾燥地水文学 / 塩類集積 / 蒸発実験 / 観測データ解析 |
研究概要 |
西オーストラリア半乾燥地域の裸地で、過去に、蒸発・降雨-塩類集積の関係についての水文・気象観測を実施したが、本研究は、そこで得たデータを水・塩分収支という観点から詳細に解析すると共に、現地土壌を用いた蒸発実験や数値計算を通し、そこでの水・塩分挙動の解明を目的とした。得られた成果は以下の通りである。 (1)夏季、地面には塩クラストが形成され、その下方約5cm間に乾燥域が形成される。その区間での水蒸気密度の測定データを用いて水分の挙動を解析した結果、夏の最盛期では、日周期的な変動を伴って乾燥過程を辿るが、時間経過と共に夜間、下方からの水蒸気の貯留による湿潤化が見られる。晩夏では、夜間での大気の侵入・凝結により全体的に湿潤過程を経るなど、夏季での水蒸気輸送-蒸発-凝結の関係が明らかとなった。(2)ドーム式蒸発計で、夏季に測定した地面水蒸気フラックスデータの検討結果、地面直下での水蒸気輸送に地表風の風速の影響が現れることが確認できたが、この仕組みの解明は今後の課題となった。(3)現地土壌によるカラム蒸発実験で層表面に厚さ数mmのクラストの形成と、これによる20〜30%程度の蒸発強度の低下を認めた。(4)地面でのアルベドは秋季で低く、春季で高くなるという季節変化を示し、夏季でのクラストの存在を考慮すると逆の傾向となることが観測されていたが、この特性は、日射を直達光と散乱光に分けると説明できる可能がある。(5)数値計算的研究として、熱・水・水蒸気・塩分の輸送方程式を解く1次元モデルを開発し、現地の土壌層(深さ1m、50層)に観測された気象データを与えてシミュレーションを行った。その結果、雨季後の乾季初期で、表層への塩分の集積が計算されるなど興味ある結果が得られたが、表層が絶乾状態となるような厳しい条件下の計算となったが、総合的な解析へとつながる解析が可能になった。
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