研究概要 |
本研究は、河川、湖沼、海域などの浅水乱流場を対象に環境や災害などに関する種々の水問題の解決に貢献できる数値解析モデルの構築を目指し、多くの水理条件下でモデルの比較検討を実施し、工学的に最適なモデルの抽出を試みるものである。本年度は,(1)湾曲部の浅水流,(2)馬蹄渦を有する流れ,(3)浅水格子乱流,(4)水制を有する河川の4つの個別テーマを対象として検討を実施した.研究の内容と成果の概要を各個別テーマについて述べる. (1)湾曲部の浅水流:急な曲がりを有する開水路流れ場を対象として,現象の把握とモデルの検証を実施した.特に急な曲がりを有する流れについて,乱流モデルの妥当性,側壁の粗度の影響,側岸勾配の影響などの検討を実施した.また,LESとの比較を行い,計算速度などでのRANSの優位性を示した. (2)馬蹄渦を有する開水路流れ:橋脚などの底面付近には馬蹄渦と呼ばれる三次元的な定常渦が発生し,特に河床の局所洗掘に影響を及ぼすことが知られている.従来の水深積分モデルでは馬蹄渦を考慮するモデルはアドホック的なものを除いて提案されていなかたt.本研究では水深積分平面2次元モデルに馬蹄渦を考慮する新たな手法を提案した. (3)浅水格子乱流:透過型水制や植生周辺の流れ場,都市域への氾濫水の挙動などを単純化したモデルとして浅水格子乱流を取り上げ,その特性を実験と数値解析の両面から検討した. (4)水制を有する流れ場:水制周辺の3次元流れ構造と河床変動の数値解析モデルを提案した.本モデルを用いて,水制設置角度や水制間隔が河床変動に及ぼす影響を解明した.
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