研究概要 |
平成20年度は 1)モビリティマネジメントを前提としたワークショップ(以下WS)を対象として,議論の内容と意識変化の関係性の分析(平成19年度からの継続) 2)自動車の走行状態測定装置からの情報フィードバックによる意識変化の分析 3)中山間地の集落の全住民を対象とした生活制約と意識の分析を実施した. これまでの分析で明らかになったことを以下にまとめる. 1)WSの開催による認知環境の変化は,WSを開催した際に同一テーマでグループ訳を行ったが,グループによって効果が異なっていた.このことからワークショップの議論内容をテキストマイニングし,議論の内容の違いを視覚的に明らかにした.モビリティマネジメントの際に実施されることの多いワークショップは議論の内容によって影響されることが明らかにした. 2)自動車の走行状態測定のフィードバックはモビリティマネジメントでのTFPと同じ効果があることが期待され,それによる環境意識の変化と行動(運転スタイル)の変化を測定した.この研究からはリアルタイムフィードバックは環境意識にはそれほど働かず,ゲーム的な感覚が働くようであることが指摘された.そのため目標などの設定が効果的と考えられる.また,急発進等の燃費悪化要因に対しては警告音などの不快な音が効果を高めることがわかった. 3)中山間地の集落の全世帯の全構成員に対してアクティビティ調査を行い,生活の実態と交通の利用状況および生活の満足度調査を行った.プローブパーソン調査を行う予定であったが,利用方法の理解が困難であったため紙で実施した.この研究からは中山間地では自動車による送迎が公共交通への代替可能性を高いことが指摘された. 以上より,認知的な環境制約および移動意図の特性が明らかになり,効率的にモビリティマネジメントの実施を行うための基礎的な情報を示すことができた.
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