地方都市の都心商店街においては、大規模ショッピングセンターの郊外立地によりマイカー来客が減っており、自転車来客を重視する動きが現れている。平日の自転車来客はおもに主婦層であるが、学生層(大学生・高校生など)の立寄りも軽視できない。地方の中核的な都市では大学・高校などが多く存在しており、自転車通学生たち(以下「学生層」)が帰宅途中に商店街に立寄ることによる。この現象について、高校生を対象とする実態調査のデータを集計・分析した結果、学生層は二つの群に分けられることが明らかになった。一つは自宅・学校・商店街の位置関係に大きく左右される群であり、もう一つは位置関係に左右されない群である。このうち前者について統計的に回帰分析したところ、立寄り行動の発生率(=立寄る人数/全人数)は相対距離差(L_1-L_2)/Sと明確な直線相関を持つことが分かった。ここにL_1は登校距離(自宅→学校)、Sは迂回距離(学校→商店街)、L_2は帰宅距離(商店街→自宅)である。すなわち、商店街が帰路の途中にあれば立寄りは生じやすく、逆に自宅から遠ざかる位置にあれば立寄りは生じにくい。この相関関係を元にして演繹すれば、前者の立寄り行動が発生する最も遠い地点-立寄り行動の発生圏境界線-を簡単な数式で表現できる。具体的には三つの距離L_1、L_2、Sをx-y座標で表現すれば境界線は双曲線で表せる。この境界線を地図上に描けば学生層の集客圏構造を知ることができるので、商店街側からみて主婦層・学生層に向けての駐輪計画に役立たせることができよう。
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