研究概要 |
本研究課題は,空港容量制約と路線設定制約を考慮した航空ネットワーク市場分析モデルを構築し,主に極東アジアを適用対象事例として,将来考えられる政策オプションについてのシミュレーション分析を行うことを目的とする. 当該年度は,第一に,前年度までに開発したモデルプログラムのアルゴリズム改良を行った.構築したモデルは,従来モデルに比べて制約条件の処理が複雑化し,また,下記でデータを整備する航空ネットワークにモデルを適用すると,従来モデルよりもネットワーク経路数規模が大きくなる.このため,モデルの均衡解計算手法についても,大規模問題に適したアルゴリズムへと変更し,演算プログラムを改良する必要があるためである. また,構築した分析手法を,日本を中心とする極東アジア地域における航空ネットワークへ適用し,政策案シナリオの影響分断を行うために,モデル分析の前提条件となる,当該地域における航空ネットワークデータ,CDデータを入力する必要があるが,市販データおよび無償公表データは,欠損値や異常値の存在のため不完全な状態である.そこで,当該年度の第二の実績として,複数データソースを重ね合わせることにより,航空ネットワークデータとODデータの補完および推定を行った.さらに,空港容量制約や国際協定に基づく運航規制・路線設定制約についても情報を整理し,モデル分析のためのデータを構築した. 第三に,最終年度における政策シナリオ分析において計算ケースとして設定する前提条件操作方法の方針について検討した.東アジアにおける国際航空市場は,現在も規制的環境下にあり,かつ,容量制約問題が顕在化している空港があるという状況下にある.こうした環境を鑑み,ここでは,我が国および韓国・中国等近隣諸国において,計画・提案されている国際航空政策案を念頭に置き,空港容量制約に係る政策シナリオと国際航空運航規制変化シナリオに重点を置いて分析シナリオ案を作成した.
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