研究概要 |
本研究課題は,空港容量制約と路線設定制約を考慮した航空ネットワーク市場分析モデルを構築し,主に極東アジアを適用対象事例として,将来考えられる政策オプションについてのシミュレーション分析を行うことを目的とする. 当該年度は,前年度までにおいて検討した政策分析シナリオについて,本研究で構築した分析手法を適用し政策シナリオ分析を行い,その効果について評価を行った.評価の視点としては,第一に,諸政策によって,エアライン毎航空路線毎の航空需要・運賃・運航頻度に及ぶ影響を推定した.さらに,これらの変化量を基に,航空市場における消費者余剰を計測し,政策効果を推定した.具体的には,羽田空港の再拡張に伴う,国際定期航空路線の乗り入れによって,東アジアにおける航空市場に及ぼされる影響を分析した. 分析の結果,ソウルをはじめとする近距離地点においては,羽田空港の国際路線への容量割当量によって国際航空市場に及ぶ影響が敏感に反応することが示された.また,海外のどの都市を就航地として認可するか,そのパターンによって,他都市における空港の需要や就航便数へ及ぶ影響が変化することを,定量的に示した.本研究の成果は,新たな航空市場分析手法の構築という学術的成果ばかりではなく,現在実務的な政策課題となっている,羽田空港における国際航空政策のあり方についそも,種々の政策代替案によって予想されうる効果を詳細に推定することを通じて,政策支援としての実務的貢献を果たしている.
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