研究概要 |
千葉工業大学津田沼校地内(千葉県習志野市)の観測孔において,地下80m,402m及び403mの深度の間隙水圧を10分間隔で経時観測した.観測結果から大深度地下間隙水圧は夏期に減少し冬期に上昇する季節変動があることが明らかになった.この間隙水圧の季節変動が観測地点周辺地域の揚水によって発生すると推定し,間隙水圧観測結果や揚水データの分析から大深度地下の間隙水圧に影響を与える揚水地点の範囲を特定した.揚水に伴う地下水頭の変化を駆動力とした大深度地下水浸透の有限要素法解析を実施し,推定した大深度地下間隙水圧挙動と揚水の関係がある程度実証できた.これにより,観測地点の大深度地下間隙水圧挙動の観測結果と解析結果の比較・分析から,大深度地下水挙動を支配する力学モデルを構築する道標が示された.さらに,非定常地下水浸透解析のために必要な,地盤と構造物の相互作用について基礎的な実験を実施した,海外共同研究者は,英国における大深度地下の間隙水圧挙動のデータを収集した.これらのデータは,平成21年度の研究目的である,観測結果と非定常浸透解析結果との比較・分析から構築した大深度地下水挙動の力学モデルを,観測地点以外の地盤に適用し,モデルの合理性を検証するためのデータとして用いられる.また,平成20年度の研究で得られた知見は,同年度開催の国際会議と国内学会の講演会で既に発表し,平成21年度開催の国際会議と国内学会の講演会に投稿済みである.
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