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2008 年度 実績報告書

超高濃度嫌気性消化の有機物分解に及ぼす含水率の影響と数学モデルによるプロセス制御

研究課題

研究課題/領域番号 19560549
研究機関日本大学

研究代表者

野池 達也  日本大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (90005398)

キーワードメタン発酵 / 乾式 / 再生可能エネルギー / バイオマス
研究概要

前年度において,超高濃度嫌気性消化では消化汚泥の不均一性が高く,これが消化速度の低下に寄与している可能性が示唆された。そこで当該年度においては,超高濃度嫌気性消化に特徴的な,極低含水率の有機固形物原料を投入した実験を行い,消化汚泥の撹拌がバイオガスの生成に及ぼす影響について調査した。試験区には,無撹拌区,低速撹拌区および高速撹拌区を用意し,それぞれについて回分実験を行って,バイオガスの発生量および組成の計測を行った。その結果,反応槽内の撹拌速度の増大に従ってバイオガス生成量が増大した。低速撹拌区および高速撹拌区では,原料投入から24時間以内にバイオガスの生成が観察されたが,無撹拌区においては,ガス生成までに72時間を要した。どの試験区とも,安定時のメタン含有割合は70%であった。反応槽内部の複数の箇所の蛍光計測から,撹拌によって内容物が均質化していることもわかった。これに関連して,高速撹拌区では無撹拌区よりもADM1で導かれるガス生成曲線に近づく結果が得られた。本結果より,超高濃度嫌気性消化にあたっては,内容物を均一化する処理によって,より多くのエネルギーを高速に回収できることが明らかとなった。
なお,本研究で用いた原料は平均含水率が7.6%であり,超高濃度嫌気性消化技術が本来対象とする有機固形物の含水率(20〜40%)と比べて極めて低い。にもかかわらず,嫌気性消化槽内の含水率は想定ほどには低下せず,75%程度で定常状態となった。本研究で用いた高機密性の閉鎖型実験システムにおいては,生成したバイオガスが選択的に回収される一方で,水分の多くが反応槽内に留まる。その結果,水分蓄積と低含水率の原料投入とが槽内で均衡して,含水率が75%程度で定常となったと考えられた。これは,今後の超高濃度嫌気性消化技術開発において,安定した低含水率の実現に際してはシステム中の水の挙動に関する研究が不可欠であることを示唆している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Upgrading of the anaerobic digestion of waste activated sludge by combining temperature-phased anaerobic digestion and interm ediate ozonation2009

    • 著者名/発表者名
      T. Kobayashi, Y. Y. Li, H. Harada, H. Yasui, T. Noike
    • 雑誌名

      Water Science and Technology 59

      ページ: 185-193

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 高濃度有機性廃棄物の一次処理としてのメタン発酵法2009

    • 著者名/発表者名
      野池 達也
    • 雑誌名

      用水と廃水 51

      ページ: 330-337

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 下水汚泥の嫌気性消化における無機物の溶解析出挙動の熱力学的解析2008

    • 著者名/発表者名
      小松和也, 安井英斉, 李玉友, 野池達也
    • 雑誌名

      環境工学研究論文集 45

      ページ: 341-348

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 状態変数分類による最初沈澱汚泥のメタン発酵プロセスモデル2008

    • 著者名/発表者名
      安井英斉, 小松和也, ラジブゴェル, 李玉友, 野池達也
    • 雑誌名

      土木学会論文集G 64

      ページ: 132-143

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Evaluation of state variable interface between ASM and ADM12008

    • 著者名/発表者名
      H. Yasui, K. Komatsu, R. Goel, Y. Y. Li, T. Noike
    • 雑誌名

      Water Science and Technology 57

      ページ: 901-907

    • 査読あり
  • [学会発表] Fluorescence Measurement as an Assessment Method for the Anaerobic Digestion Activity.2008

    • 著者名/発表者名
      R. Endo, O. Kitani, T. Noike, K. Omasa.
    • 学会等名
      The 2008 APGC Symposium
    • 発表場所
      Creswick, Australia
    • 年月日
      2008-12-09
  • [学会発表] Fluorescence Characteristics of the Sludge during Wet and Dry Anaerobic Digestion.2008

    • 著者名/発表者名
      R. Endo, O. Kitani, T. Noike, M. Tosaka, K. Omasa.
    • 学会等名
      Proceedings of 5th International workshop on innovative anaerobic technology
    • 発表場所
      日本大学, 東京
    • 年月日
      2008-04-03

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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