研究概要 |
平成22年度は,臭素消毒模擬下水および模擬水道水に対して,塩素消毒,紫外線消毒またはオゾン処理を行い,その飲用におけるヒトの化学物質リスク評価と微生物リスク評価を行った。都市下水処理場活性汚泥処理水の模擬排水として、各種アミノ酸溶液および植物含有物質溶液(本研究ではテルペン類など)を調製し,臭素消毒を行った。臭素系消毒剤として,1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)を用いた。なお,対照として次亜塩素酸ナトリウム消毒および紫外線消毒についても同様に検討した。消毒した下水処理水を1日放置し、塩素または塩素代替消毒(紫外線処理およびオゾン処理)を行った。その後、試料中の消毒副生成物質を,ヘッドスペースガスクロマトグラフ法により分析した。各種アミノ酸溶液の実験結果では塩素より臭素系消毒剤の方がトリハロメタンを多く生成した。また、臭素系消毒剤はプロモホルムを最も生成しやすかった。上水消毒においてオゾン消毒は塩素消毒よりトリハロメタンの生成量が少なく、効果的であるといえた。α-テルピネオール、チモール、カルバクロール、ヒノキチオールを次亜塩素酸ナトリウムと反応させると塩素置換反応やアルキル基の脱離反応などが起き、分解副産物と思われる物質が生成された。これらの物質は中間生成物として生成され、最終的にクロロホルムに変化したと思われた。しかし、分解副産物やクロロホルムの濃度が低いことから、クロロホルム以外の低分子が生成されたと考えられた。
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