研究概要 |
本研究では、琵琶湖南湖流域における市街地とラオス国ビエンチャン市を対象として、都市排水系統内に排出される汚濁物の動態とそれらが底生生物に及ぼす生態毒性を明らかにすることを目的としている。平成20年度は、大別して(1)実態調査,(2)生態毒性試験,(3)流域GISデータベースの作成,(4)調査結果の解析の4テーマについて研究を実施した。 1. 実態調査 以下の概要にて現存調査Aおよび現存調査Bを行った。いずれも、対象地域は琵琶湖南湖流域ないしラオス国ビエンチャン市とした。 ・現存調査A:晴天時・雨天時における汚濁物流出量調査 ・現存調査B:雨天時流出微量汚染物質の流下管理施設(一時貯留池・植生浄化池)における挙動調査 2. 生態毒性試験 雨天時流出微量汚染物質の流下過程において採取してきた底質試料をユスリカに暴露させることにより生態毒性試験を行った。 3. 流域調査およびGISデータベースの作成 4. 調査結果の解析と移動・堆積・流出モデルの作成 (1)汚染物質について、現存量と流出負荷量の変化を、降雨特性との関係で解析・定量化を図った。 (2)流域の社会指標と排水系統の整備状況を整理した上で、都市由来汚濁負荷量を定式化した。 (3)汚濁負荷の晴雨天時別大気浮遊,晴天時堆積および降雨時流出挙動を記述した。 以上により、主として微量有害物質の流出管理を意図した都市雨水排水系統整備のあり方について一定の議論の方向性を示すことができた。これまでPAHsの現存量や生態リスクについての総合的な調査は行われておらず、今回の実績が初めての試みとなった。
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