研究課題/領域番号 |
19560554
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
山崎 惟義 福岡大学, 工学部, 教授 (00038100)
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研究分担者 |
諸岡 成治 福岡大学, 工学部, 教授 (60011079)
渡辺 亮一 福岡大学, 工学部, 助教 (50299541)
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キーワード | 密度成層破壊 / 貧酸素水塊改善 / 閉鎖性海域 / 傾斜板 |
研究概要 |
閉鎖性海域の成層破壊のシミナレーションについて、昨年度はCFDソフト(FLUENT)の使用法の応用可能性に重点をおいて研究を実施したが、十分に応用に耐え得るという結果を得た。その成果をもとに、本年度はまず、博多湾和白海域付近の狭窄部の地形模型を用いた密度成層破壊に関する模型実験結果と本CFDソフトによる数値計算結果との成層破壊の流況比較を行った。その結果、実験結果と同様に、傾斜板(成層破壊装置)を設置しないものでは、ほとんど成層破壊が生じないこと、傾斜板の設置により傾斜板下流における渦によって成層破壊が生じることを示した。その実績を踏まえ、上記の実海域において、傾斜板の設置の有無の条件で成層破壊の数値シミュレーションを行った。その結果、モデル実験の場合と同様に、傾斜板を設置しない場合は、密度界面が若干波打つものの成層破壊はほとんど生じないことを示した。また、実海域では、海水の温度、塩分濃度、DOの鉛直分布を求めるための調査を実施した。成層破壊が非常に生じにくいことを示した。このように、実海域においては、現地調査と数値シミュレーションの両面から、現実の流速などの条件では、成層破壊が生じにくいことを示した。一方、実海域において、傾斜板を設置した場合の数値シミュレーションによって、強度の密度成層した海水が傾斜板下流の後流によって激しく混合されることにより成層破壊が生じること、さらに、混合による輸送フラックスを計算することができた。この結果から、模型実験では傾斜板を設置することにより、密度成層の破壊とそれによる上層の高酸素濃度の海水を底層に輸送する効果が期待できるという成果を得ていたにもかかわらず、実海域におけるそのスケールアップ効果を示すことができていなかったが、本研究により、実海域においても十分酸素の底層への輸送が可能であることを示した。
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