研究課題
平成19年度の研究では、PMA(Propidium monoazide)試薬とリアルタイムPCRとを組み合わせて実験しても活性のある菌とない菌を区別して定量できなかった。そこで今年度はDNAの抽出方法と照射するハロゲン光の強さを変更した。先ず、DNAの抽出方法としてQiagen社のDNeasy kitを用いて大腸菌のDNA定量実験を行った。増幅効率、決定係数ともInstagene Matrix試薬を用いた場合より精度は高くなかったが、大腸菌DNAの定量を行うことができた。次にハロゲン光の強さ300Wと500WでPMA光照射実験を行い、PMA試薬の効果を確認したところ、300Wの場合ではDNA抽出方法をDNeasy kitに変更してもPMAの効果が認められなかったが、ハロゲン光の強さを500Wに変更した場合、照射時間5〜10分間でPMAの効果が明らかに示された。熱処理した大腸菌と無処理の大腸菌を混合した実験では、300Wと500Wいずれの場合も大腸菌の生菌量が減少するにつれて閾値サイクル数が増加する傾向が見られた。しかし熱処理菌体と無処理菌体の差異は期待したほどではなく、定量のための検量線を作成できなかった。VNC状態の大腸菌を選択的に検出定量するには、閾値サイクル数の差をさらに拡大する必要がある。以上のように今年度は大腸菌の計測方法の改善に取り組んだため、真正細菌の定量方法の検討はできなかった。
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Water Science & Technology Vol. 58, No. 7
ページ: 1343-1348