(1)浄水プロセスにおける過塩素酸等の生成特性の把握 過塩素酸等の挙動について検討を行うため、次亜塩素酸ナトリウム溶液、生成次亜塩素酸(以下生成次亜)等を用いる処理を含む実際の浄水プロセスにおけるそれらの物質の挙動について検討を行った。 浄水工程においては、過塩素酸は、オゾン処理等では生成せず、次亜塩素酸ナトリウムまたは生成次亜の添加により若干増加していた。主に、次亜塩素酸ナトリウム溶液または生成次亜の保存中に、微量に生成、増加すると考えられた。次亜塩素酸が塩素酸と塩化物イオンに変化し、更に過塩素酸と塩化物イオンに変化する不均化反応により生成するものと考えられた。 (2)次亜塩素酸生成時の過塩素酸生成特性の把握 次亜塩素酸の生成実験を行うため、種類の異なる電極を特注で入手するとともに、実験系を構築した。そして、生成装置の電極の種類により反応時の電位が異なり、次亜塩素酸の生成にともなって生成する、過塩素酸の生成特性に影響する可能性があることを予備実験で検討した。現在、確認実験を行うとともに、数種類の電極において、塩素酸、過塩素酸の生成特性の検討を行っている。 (3)ハロゲン酸のリスク評価手法に関する検討 過塩素酸の全国調査の結果では、原水で工場排水の影響を受けている場合の濃度が最も高く、浄水処理における増分はほとんどの場合わずかであった。従って、次亜塩素酸ナトリウム溶液の保存において塩素酸の生成を抑制することによって、過塩素酸の抑制が可能と考えられた。生成次亜については、有効塩素当たりの塩素酸、過塩素酸濃度が次亜塩素酸ナトリウム溶液に比べ高めであった。米国では、過塩素酸の暫定健康勧告濃度として15μg/Lが提案されたが、その中では食品経由の寄与が考慮されているため、日本における過塩素酸のリスク評価には、食品の寄与も考慮する必要があると考えられた。
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