消毒剤として使用されている次亜塩素酸ナトリウム(以下「次亜」)は、塩水の電気分解によって製造されており、安価で、簡易な方法であるため、実際の現場でも生成、使用されている。この次亜の不純物として、塩素酸が知られている。塩素酸は、水道水質基準項目(基準値:0.6mg/L)となり、また、過塩素酸も要検討項目として、評価値が25μg/Lに設定された。利根川上流では、過塩素酸が検出されるが、その生成には、工場における電解過程も関与している。 次亜塩素酸の生成における塩素酸、過塩素酸の生成実験を行うため、6種類の異なる電極を特注で入手し、実験系を構築した。構築した系で、30g/Lの塩化ナトリウム水溶液を用いて実験を行ったところ、生成装置の電極の種類により反応時の電位が異なり、次亜塩素酸の生成にともなって生成する、塩素酸、過塩素酸の生成量が異なることが分かった。電流値が2アンペアの一定の条件では、酸素過電圧が高い電極で電圧が高く、次亜塩素酸の生成量が低く、塩素酸、過塩素酸の生成量が多くなることが分かった。特に、プラチナや鉛電極において、その傾向が顕著であった。電解における酸素過電圧と、塩素酸、過塩素酸の生成の関連には、次亜製造を目的とした段階でも表れること、特に過塩素酸において顕著であることが分かった。 電解における電位の違いにより、塩素酸、過塩素酸の濃度が高くなるため、現場生成の次亜や、電解工程を有する工場排水、電解を用いる浄水器等でもこのような傾向がある可能性があることが示唆された。
|