研究概要 |
本研究では,実構造物を用いた自然風中での風圧や変位の実測に基づき,曲面構造に作用する定常・非定常空気力の特性,特に非定常空気力の空力減衰効果を明らかにすることを目的としている。具体的には,最も基本的な形状として円弧屋根を対象としている。 空力減衰効果に関しては,強制振動実験模型を新たに作成し,風洞気流中で強制加振させた状態で多点風圧と変位の同時測定を行い,非定常空気力の速度同相成分の特性を把握する。平成19年度においては,加振振幅と振動数を可変できる強制加振模型を,機械工学の技術者の協力を得て設計・製作した。また,変位と多点風圧を同時に計測するシステムを確立した。平成20年度に実験を実施する。レイノルズ数効果については,風洞実験と実測との比較が重要である。そこで,現実的に実測が可能であり,風による振動が大きく現れる構造物として円弧型の園芸用パイプハウスを対象とした。秋田県立大学本荘キャンパスに実測用の実大モデルを建設し,中心断面および妻面近傍の断面で風圧の多点同時観測を実施した。我が国で一般に使用されているパイプハウス形状においては,頂部が尖っているため,風洞実験で実現可能な風速範囲でも実大構造物まわりの流れが概ね再現できることが分かった。また,風洞実験結果に基づき,園芸用パイプハウスに作用する風圧の特性を把握し,構造骨組用風圧係数について考察・提案した。
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